今書いている詩(570) 「たろうさんの仮面ライダー」
いくら娘でも身体は 替わってあげられない 思いでだけが共有できる 祈りが残される 五月にはいって 娘が急に泊まりに来る 連絡が入り 浮かれていた 加藤くんが急に 夜勤になったのだ 上司が倒れて 救急車で搬送されたと娘が言う その人の代役に加藤くんが その日倒れた人は 朝から少し頭が重いと言いながら 早くから息子のために...
View Article昔書いていた詩(102) 「男」
男 10円銅貨を切符販売機に入れてみたら 切符が出ないで電車が走り出した 駅長のいない駅で駅員に聞いたら 「汽車は来ない貨車に乗れば」と言うのだ 貨車に乗ったら枕木のない線路を走っている 運転手も車掌もいない荷台で 牛のように黙っていたら 俺は背中に牛と焼印の付いている男になった 貨車は西に走ってゆく 夜から昼へ昼から夜へ後ろ向きに 途中に駅はない...
View Article今書いている詩(1125) 「たろうさんの冬空」
日が覗いているが 寒い冬空です 東京は15日に 雪の予想が出ています 太陽くん キミが 恥ずかしくて 隠れてしまうと こころまで 凍えそうです 風がないだけ 幸せかかな? 少し所々に 青空が見えるから 希望も残っている 暖かい風が吹くまで もう少しのやせ我慢だね 一杯重ね着をして 蓑虫になって 春を待つのさ 土筆 ツンツン まだ夢見てる
View Article儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ⑥
儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ⑥ 金剛界奥義集 【金剛界】真言密教では、胎蔵(界)と対をなして、〈両部〉という。胎蔵を客体すなわち〈理〉とするのに対し、金剛界を主体すなわち〈智〉(智慧) とし、真理は主客一体、智と理の不二であると説く。〈金剛界〉とはダイヤモンドのような堅固な悟りを体とするという意味で、それを表現したものが〈金剛界...
View Article今書いている詩(571) 「たろうさんの受験勉強中」
たろうさんの受験勉強中 人生はいつまでも 試験の連続だろうか ときどき試験の 夢を見る 学校の夢を見ると 嬉しいのだが 試験の夢は見たくない 受験では失敗の連続で 此処まで来てしまったが 今更取り返しの つかないのも人生だ 娘も 大学受験では 良く落ちて泣いた 娘の部屋のドアに 「受験勉強中」の札が懸かっている もう十年以上前に...
View Article今書いている詩(1126) 「たろうさんの舞台」
たろうさんの舞台 幕は開きますか まだですか 役者は揃ってます 三文役者 大根役者 いえいえ あなたは 立派な 立役者です この舞台に立つと 演技が出来ません? 大丈夫です! 実生活では 見事に 演技してますよ! 素の儘で良いのです 度胸がない? プロポーズの時を 思い出すのです わたし見る人 あなた演じる人 あっ 大事な人 忘れていました 幕を開ける人 閉める人 「神さま それは確か...
View Article昔書いていた詩(103) 「失業者」
失業者 働いている時 僕は潜在的失業者だと思っていたら 今度は本当の失業者になった 職安に失業保険の認定に行ったら 僕と同じ顔の男がいて 同じ認定番号を持っていた メガネをかけた心臓の悪い 紹介係は黙って判を押していた 僕の名前を呼ぶので ハモニカのようなカウンターに腰かけると 紹介係の男は「いい仕事なかったですか」と聞くのだ 僕は「ええ...
View Article儀海年表 誕生から32歳まで
儀海年表 誕生から32歳まで 儀海年表 弘安二年(一二七九)儀海生まれる。 永仁三年(一二九五)正月十五日於根来寺大谷院之草庵以草案本書写之畢 金剛資儀海 永仁三年(一二九五)閏二月十四日根来寺中性院書写畢 頼縁 儀海 正安四年(一三〇二)六月十五日於常陸国真壁郡亀隈郷成福寺講堂西庫書写畢 (梵字二字)(儀海ヵ)二十三 嘉元二年(一三〇四) 極月二十七日於常陸国成福寺方丈書了 金剛仏子儀海廿五...
View Article今書いている詩(572) 「たろうさんのカエルくん」
たろうさんのカエルくん 2階の娘の部屋で Facebookに夢中に なってコメント書いてたら 洋子さんの 「チョット来てよ」と 慌てた声です 「カエルがガラスにいるのよ」 よく見ると確かに リビングの大きなガラス戸に カエルくんが 吸盤を吸い付けて へばり付いてます アマガエル君より大きいです 「雨戸閉められないわ」 「そのうちにどくよ!」...
View Article昔書いていた詩(104) 「冬に向かう男 」
冬に向かう男 フィルム会社の煙突 その上で現像された秋が 逆立ちすると 11月の 空のスクリーンに 投影され ミズナラの林に 墜落し 男を分娩する 二重写しに 男と女を 重複した 地質技師が アーケードの街を過ぎ ギクシャクと 歩きながら 独白するそばで ジュラ紀の銀杏が 昔を思い 舞い始める 12月 記憶の交差点で 盲人が 左折した 夏の軌跡に触れ...
View Article今書いている詩(1127) 「たろうさんの2円(似縁)」
浜松町駅に向かいます 雪が降らずに 良かったです 寒い一日でした ポケットに手を入れて おや お金が おお そうか! この間 城山手の生協で 洋子さんと 孫の3人で マミー を2本買った その時のお釣りです マミー 孫が散歩の時に 好きで 飲むのです 思い出すだけで 嬉しくなり 2円(に縁)の 感触を確かめるように 握り直します アルミの2円は軽いです 歩く足取りも軽いです 「はい! 洋子さん...
View Article今書いている詩(207) 「たろうさんの夏蔦(つた)」
たろうさんの夏蔦(つた) 雷雨であなたの所へも 雨水が届き 夏蔦も少しずつ わたしの家を覆い 灼熱の真夏の 日差しから 守ってくれる そんな日が来ているから わたしはあなたにも 優しくなれる 壊れた雨樋から 突き出た屋根に 雨粒が激しく 音を立て注いでいる そんな夜に 娘が帰ってくる 台所から夕餉の 美味しい匂いがする ガンモと春巻きを 洋子さんが...
View Article儀海年表 32歳から40歳まで
儀海年表 32歳から40歳まで 延慶四年(一三一一)正月七日於武州由井横河慈根寺弊坊書写畢 金剛仏子儀海三十二 応長元年(一三一一)十月二十四日於武州由井横河慈根寺蔽坊閣万事令書写畢 三宝院末資 儀海三十二才 十月廿九日於武州由井大幡永徳寺如法経修申出写畢 金剛佛子儀海三十二 十月廿九日於武州大幡永徳寺如法修中書写畢 金剛仏子儀海三十 二...
View Article今書いている詩(573) 「たろうさんの夕陽」
「夕陽が沈むときにジュッと 海が音を立てるんだ」 青い珊瑚礁の老船長の セリフだ 一日は長いようで早い 青春の時は長く 老年になると あっという間に 一年が過ぎる 一日は思う暇もない この海から 日も又昇るね 地球は自転している わたしの思いも 廻ってる 「夕陽のぼくを 神さま ダルマさんと呼ぶんだね」
View Article昔書いていた詩(105) 「秋」
秋 カラビナに繋がれた秋に スリップした岩場 街に帰る蒼白の登攀者と 積木の墓標 物置に眠る登山靴 季節風の吹き出し 雪と風の饗宴で 再生された冬 無人小屋の囲炉裏 夜空に満点の星 大気の深呼吸 星の揺らめき 凍結した稜線で 樹氷花に 霧氷花 ああ 冬の重圧に 生物の窒息と 樹氷花と霧氷花の落下 冬の融解の音響に 春の胎動 ガラス越しの日射しに...
View Article儀海年表 40歳から没年まで
儀海年表 40歳から没年まで 元応元年(一三一九)閏七月廿八日於奥州小手保河俣先師法印頼瑜御本書写畢 三宝院末資権律師儀海四十 八月四日時正第二於奥州陸国小手保河俣先師法印頼瑜以御本書写 畢 八月五日時正第三於奥州小手保河俣先師法印頼瑜以御本已上十五巻書写功畢 金剛資儀海生年四十 七月五日於高野山金剛峯寺南谷宿坊賜師主御自筆御本書写畢 以書写功為生々世々大師値遇之縁成聴聞密蔵之因耳...
View Article今書いている詩(574) 「たろうさんのコーヒー」
醒めてしまった コーヒー 飲めますか レンジで 温めますか 冷めた恋も 燃えない 朽ちた愛は 立ったままの 枯れ木だね 苦悩の枝を 伸ばしてる こんな時に 君達なら何を 燃やすのだろうか 新聞紙 古材木 燃えない こころの 古石油 飲むのは 失望の アメリカン いつでもお代わりを どうぞ
View Article昔書いていた詩(106) 「ピンポールカメラ」
ピンポールカメラ 山で何をなくして 何を拾いたいのか 沸き上がるガスの中で 腐食されたピンポールカメラの針穴から 無制限に引き延ばされた二重写しの峰々 山肌と貴女の 心の襞に立てば 何時か何処かで 記憶の冬の谷に 埋没した合言葉が 蘇生する ああ 山で 何を失くして 何を拾いたいのか やがて貴女は 群青色の変色した 都会に帰ってゆく ひとりで いつも歩いている...
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