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儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ⑥

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儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ⑥

金剛界奥義集

【金剛界】真言密教では、胎蔵(界)と対をなして、〈両部〉という。胎蔵を客体すなわち〈理〉とするのに対し、金剛界を主体すなわち〈智〉(智慧) とし、真理は主客一体、智と理の不二であると説く。〈金剛界〉とはダイヤモンドのような堅固な悟りを体とするという意味で、それを表現したものが〈金剛界 曼荼羅〉である。奥義とは学芸や武術などの奥深い肝要な事柄。極意。

 金光明経開題(こんこうみょうきょうかいだい)

【金孔明経】大乗経典の一つ。曇無識、真諦約、闍那崛多、義淨訳という四訳が知られるが、完本として残るのは曇無識訳四巻と義浄訳一〇巻のみであ る。後者の正式の名称は〈金光明最勝王経〉であり、〈最勝王経〉と略称される。護国経典として名高い。開題とは経典の題目について解釈し、その大要を提示 すること。

 陀羅尼儀愚草

【陀羅尼】サンスクリット語のダラー二―の音写で、〈総持〉〈能持〉などと漢訳する。経典を記憶する力、善法を保持する力を原義とし、さらに呪文の 意として用いられるようになった。普通には長句のものを陀羅尼、数句からなる短いものを真言、一字二字などのものを種子という。

 止観勘文

【止観】もろもろのおもいを止めて心を一つの対象にそそぎ(止)、それによって正しい智慧を起こして対象を観る(観)ことをいう。即ち、定・慧の二 法であり、寂照、明静などともいい、この二つは戒と共に仏教徒の重要な実践とされ、阿含をはじめ諸経論の多く説かれる。止と観とは互いに他を成立させて、 仏道を完行させるものであるから、不離のかんけいにある。これは鳥の双翼のようであり、車の両輪のようであると喩えられる。勘文とはかんがえぶみ。

 阿字観秘釈

【阿字観】密教で宇宙人生を阿字におさめて、一切法がそれ自体において根本的であり生滅しないものであるという本不生の理を観ずること。密教では菩 提心を観想するのに、略して阿字と蓮華と月輪との三種の観じ方がある。この三種はいずれも一心に他ならず、同時に具っているものであるが、初学者の修観の 便宜上から区別して別々に観じさせるのであって、このうち、阿字を観ずるのを阿字観といい、これに声と字と実相との三観の別がある。なお、阿字を図画する ときに、通常は月輪と蓮華を書いて、月輪中に阿字を置く。

 薄草决(うすぞうけち)

 本聖教は、醍醐寺三宝流の本流・學洞院勝賢の附法である遍智院成賢によって類聚された諸尊法集成『薄雙紙』(あるいは『薄双紙』『薄草紙』)の口訣書。
 『薄雙紙』は、初重と二重に分けられ、各五十六尊法に目録一怗、都合百十二尊法からなっている。通常、初重の五十六尊法は普通諸尊法と称され、聖天供等 のごく一部の尊法を除き、これは未潅頂者にも伝授が許されている。これに対して、二重の五十六尊法は、深秘異尊法として、初重のときとは反対にごく一部の 尊法を除いて、已達∥已潅頂者でなければこれらの伝授はうけられないという恒規が定められている。
 この『薄草子口訣』は、頼瑜が、醍醐寺報恩院道場において、弘長二年(一二六二)正月九日より、三宝院流の正統、遍智院成賢の附法である報恩院憲深にしたがって、上述の『薄草紙』初重の伝授をうけたおりの委細なる口訣を認めた書である。

                        平成二〇年十一月三日
参考資料
広説佛教語大辞典 上・下巻 中村元著
岩波仏教辞典第二版
岩波広辞苑
頼瑜 ―その生涯と思想― 智山伝法院選書

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