たろうさんの諸行無常
高尾駅行きの
団地発のバスは
7時になると
意を決したように
停留所を 出て
坂道に続く カーブで
ハンドルを 大きく切った
目の前の 景色が
グルグルーと回る
洋子さんが 坂道を
降りてきて 手を振る
スーパーのバイトに行くのだ
私も振る
無事に帰れるかは
誰も知らない
でも 何事もなく帰ってくる
無常の風は
普通の人には吹かない
諸行も 変わることがない
疲れて 団地のバス停に着き
カエルコールを送る
5分程の坂道を 変わらない
重さの バッグを背負い歩く
金曜日の 喜びが
背中で踊る
「気をつけてね!」
いつも洋子さんが言う
今日も無事に帰れた
(諸行無常!)
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今書いている詩(1082) 「たろうさんの諸行無常」
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