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儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ②

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儀海史料 真福寺文庫撮影目録(上・下巻)解説 ②

 菩提心論愚草

 詳しくは金剛頂(こんごうちょう)瑜伽中発(ゆがちゅうほっ)阿耨多羅三藐(あくのくたらさんみゃく)三菩提心論という。龍猛(竜樹)の造、唐の 不空の訳と伝える。菩提心をおこすことを勧め、密教の立場から菩提心を行願・勝義・三摩地の菩提心に分けて説く。空海が重要視し、そののち日本の真言宗で ひろく学習された。十巻章、二十五巻書の一つである。天台密教の系統では、竜猛の造とせず不空の集という。頼瑜が伝法会談義に際して為された議論の内容を 編集したものである(愚草)

 声字実相義愚草(しょうじじっそうぎぐそう)

 声字実相義は空海の著。言葉と文字の本質を密教の立場から解明したもの。声字実相義愚草は頼瑜によって文永六年(一二六九)に著されたもので、伝法会の議論を書き記した問答形式の注釈書である。
【声字実相義】平安初期、真言宗開祖空海の著作。一巻。『声字義』ともいう。〈声〉は音声・言語、〈字〉は真実・真理の意味で、普通の考え方では言語や文 字は真理(悟りの内容)を表現することはできないとするが、本書では真実の仏(法身)は自らのはたらき(身と口と意の三密)として言語と文字を示すから、 真実の仏の声・字そのものが真実をあらわすと説く。これを声字すなわち実相という。真言宗で説く真言は真実語であるという思想。
法身説法の思想を明らかにした言語哲学の書である。

 吽字義秘訣(うんじぎひけつ)

 『吽字義探宗記』は弘安三年(一二八〇)七月に頼瑜が著した書で、平安初期の空海著作一巻、『吽字義』の注釈書である。そのなかで「諸字の義に優 劣はないというものの、吽字は諸仏の本源であり、諸法の能生であるからこの字を釈して顕密の因行果を摂し、教理行果の四法を摂する。顕教においては真如を 法体とするが、真言においては吽字をもって真如の所依とする。弘法大師空海は即身義、声字義、吽字義によって三部三密の義を表しており、順次に仏部身密、 蓮華部語密、金剛部密となり、吽字は識大の種子であることなどから、章密金剛部を表すためにこの字を釈す。鑁字は金剛智身の種子であり、阿字は胎蔵理仏の 種子であるが、吽字は金胎両部一心理智不二の種子であるからこの字を釈す」と書している。秘訣とは「事を行うのに最も効果が多くて、しかもめったに他人に 知らせない法。奥儀」である。
【吽字義】平安初期、真言宗開祖空海の著作。一巻。〈吽〉という字を字相と字義とのニ方面から解明した書。字相とは字の直接的意味で、吽は訶(h)、阿 (a)、汙(u)麼(m)の四字合成の語であり、〈訶〉は因で、一切諸法は因縁より生ずるの意味。〈阿〉は本初で、一切の字の母、一切の声の体、一切の実 相の源であるの意味。〈汙〉は損減で、一切諸法の空・無常・無我の意味。〈麼〉は増益で、一切諸法に我・人があるの意味をもつ。字義は字の真実の意味で、 密教独特の深い意味を示すが、これに別釈と合釈がある。別釈では、因・本初・損減・増益は、真実の立場すなわち空の立場からすれば、すべて不可得であると 説く。合釈ではこの四字は順次に法身・報身・応身・化身、または理・教・行・果のいみであり、また因・根・究竟の三句を示すとも説き、これらの密号・密義 を知るものは正覚を生ずるという。字義を通じて密教の基本的教義を明らかにした言語哲学の書である。

 即身義眼目鈔

即身義は真言密教の根本教義である即身成仏の義を説いたもの。他宗の宗義はいずれも、三劫成仏(歴劫成仏)の説をとるのに対して、肉身そのままで仏と平等なさとりが得られるとする。眼目鈔とは物事の肝心なところ。主眼。要点。

二教論指光鈔

本書の正式名称は『辨顯密二教論指光鈔』で、弘法大師の『辨顯密二教論』に対する注釈である。加持身説を打ち立てた頼瑜の教学を知る上で重要な価値 を持っており、特に新義派で尊重されている。本書は『二教論』の全文を適宜に区切って引用しながら、その文句を一々解説している逐語釈となっている。
【弁顕密二教論】平安初期、真言宗開祖空海(弘法大師)の著作。二巻。弘仁六年(八一五)ころの作か。顕教(法相・三論・天台・華厳の四宗)と密教(真言 宗)との差別・優劣を弁別し、真言宗の優越性と独立性を明らかにしたもの。顕密二教の教相判釈を説く。本書は「序説」と「引証喩釈」と「結語」とから成 る。多くの引証文をあげるが、その趣意を要約すると、第一能説の仏身、第二所説の教説、第三成仏の遅速、第四教益の勝劣について顕密二教の著しい相違を説 く。

二教論愚草

弘法大師の『辨顯密二教論』への注釈で、『二教論』の中から論題を設定し、その第について問答形式で論議している、いわば堅義の草本のようなものである。このように論議形式で著されたものはすべて『愚艸』と呼ばれている。

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