タラの芽
カールした沢の上部に
タラの芽があった
5月の連休に団地の仲間と
取りに行った
棘で身を守っていたが
僕らの前にそれは無力だった
ひっそりと隠れて暮らしていたのに
僕らの食欲が上回っていた
僕らが団地でビールを片手に
乾杯をしていた頃
尾根では春風と共に
鶯が詠っていた
たらの芽の悲しみなんか
僕は知るものか
天婦羅はとても美味いぞ