残土
広場の空き地に
工事現場がある
何処かで掘り出された
残土が高く積まれている
九月の少し弱くなった
日差しを浴びて
深呼吸をしている
おおい 君よ 残土君よ
君は何年眠っていたんだい
お天道様はどうだい
僕は君を丸めて
土饅頭をつくり
遠い僕の記憶の
谷にほうり投げるよ
忘却
遠い北国からやって来る
親子の雁のように
僕の悲しみも
単純ではない
九月の雨に濡れて
僕の傘は開いたままだから
貴女は忘れてしまったのだろうか
僕と貴女の物語の始めと終わりに
咲いていた向日葵の記憶を
急ぎ足で過ぎ去った夏を
ああ 秋空があんまり青いので
吸い込まれてしまった
僕の悲しみを知らないだろうね
僕は今も此処にいるよ
貴女の愛は今も続いているかな
知りたい僕がいるよ