空白
空から黒鳥が落下する
僕の物差しに空白が生まれる
柄杓で汲み取られた
時間の流れ
首から縄で吊り下がっている
僕の唇から不自然な言葉の誕生
躊躇いと悲しみの交差点で
君と語り合おうか
喪失したデパートの階段の
途中に売店があるから
もう何にもない貴女の
気持ちを買い
僕は未来の僕を支払う
夕焼け
夕陽で小麦色に染色された
岸壁が元の地肌に還ってゆく
辺りは静かな闇
クライマーは独りで登り続ける
彼の眼には今日の夕焼けが
やけに赤く見えたので
記憶の中に混じった昔の
自分を闇の中で探している