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Channel: たろうくん(清水太郎)のブログ
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昔書いていた詩(114) 「空白」 「夕焼け」

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   空白


 空から黒鳥が落下する
 僕の物差しに空白が生まれる
 柄杓で汲み取られた
 時間の流れ
 
 首から縄で吊り下がっている
 僕の唇から不自然な言葉の誕生

 躊躇いと悲しみの交差点で
 君と語り合おうか

 喪失したデパートの階段の
 途中に売店があるから
 もう何にもない貴女の
 気持ちを買い
 僕は未来の僕を支払う

    夕焼け

 夕陽で小麦色に染色された
 岸壁が元の地肌に還ってゆく

 辺りは静かな闇
 クライマーは独りで登り続ける

 彼の眼には今日の夕焼けが
 やけに赤く見えたので
 記憶の中に混じった昔の
 自分を闇の中で探している

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