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戦国流転 朝倉氏の国衆堀江氏

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2013年1月 2日 (水)

戦国流転 朝倉氏の国衆堀江氏


朝倉氏の国衆堀江氏

越前朝倉氏に従う国衆のうちで最大の重臣堀江氏は越前国の国人衆の中でも有力な豪族で、平安時代中期の鎮守府将軍藤原利仁流斎藤氏の後裔として越前国生え抜きの名族であった。堀江氏が確実な史料に始めて現れるのは明徳三年(一三九二)八月の「相国寺供養記」に見える「斉藤石見守藤原種用」が堀江氏であることは明白で、その系譜は諸史料・文献を検証すると次のようになる。

  斉藤石見守藤原種用――中務丞種用――利永――石見守利具

 長禄三年(一四五九)八月、越前北部を中心に展開した守護斯波氏方と守護代甲斐氏方との主導権をめぐる争い、いわゆる長禄合戦で主導権を握り中核となって終始戦ったのは石見守利具であったが、父子ともに合戦で討死すると一時に勢力を失った。

 長禄合戦によって没落した堀江石見守家を再興せんがために、堀江加賀に名を変えて再度越前に進出したのが、堀江三郎左衛門道賢の傍系の旧堀江石見守の一族とも関連した加賀国山大荘南郷出身と考えられる堀江左衛門三郎で、やがて堀江南郷家は朝倉氏に臣従して越前平定に協力し、中務丞・石見守と官途を進めていったとおもわれる。ところが、『雑事記』明応五年閏二月十七日(一四九六)条によると、当時すでに堀江南郷家は越前を逐電していて翌五年七月八日条「号坪江殿 堀江左衛門三郎」と見えて復活し、これを最後に堀江氏は『雑事記』の記録から消える。代わって、堀江氏が発給した文書が三国湊の真言宗滝谷寺と性海寺との文書に伝来するようになる。(性海寺は堀江氏とその家臣、滝谷寺は朝倉氏の士族と堀江氏)。永正元年(一五〇四)六月十日付文書で、「中務丞景実」、同十三年九月十四日付文書では「石見守景実・左衛門三郎景用」が見えるから、景実・景用は親子関係であろう。このようにして、堀江石見守(南郷)逐電後、この跡式を継承した堀江左衛門三郎とは時代的に「堀江景実」に相当して左衛門三郎・中務丞・石見守へと、同じように通称や官途名を進めて行ったと思われる。(朝倉氏が越前を支配するようになると、

堀江氏はその被官に組み込まれていった。例えば、堀江氏は名前に朝倉氏の通字である「景」の一字を冠するようになる。)次に、天文二十二年(一五五三)の文書にみえる「堀江景忠」は景用の子、石見守景実の孫と考えられ、永禄十年(一五六七)に子息の利茂とともに朝倉義景に叛旗を翻して加賀に亡命した。景忠は後に「堀江藤秀」と改名して朝倉氏滅亡後に再び越前に復帰している。

 堀江景忠が朝倉義景に対して反乱を起こした時期と前後する永禄期の堀江一族の動向を知る史料として注目すべきは「河口庄勘定帳」である(松原信之編『朝倉義影のすべて』)。



  ⑵ 越前の門徒と堀江氏

堀江兵部が越前より移住を決断した動機の背景には、一向宗と朝倉氏の争いに関係があるとおもわれる。越前の一向衆徒の勢力は蓮如が、文明三年(一四七一)の初夏から同七年八月下旬まで、坂井郡細呂宜郷内吉崎の地に滞在し布教を行ったことにより、飛躍的に伸張した。のちに加賀は「百姓ノ持チタル国」となった。

 一向一揆の国となった加賀と朝倉氏は厳しく対立し、四代朝倉孝景は絶交状態を続け、また積極的に介入することもなかった。義景も、この政策を続けた。しかし、弘治元年(一五五五)七月二十一日、越前勢は朝倉宗滴(初代、孝景の子)を大将として加賀へ攻め入った。戦いは朝倉勢の勝利に終わったが、八月十五日晩、宗滴が病でたおれ、九月八十九歳で没した。これは朝倉氏にとって痛手であった。この戦いでは堀江氏も微妙な立場に立たされたと思われる。越前の門徒と堀江氏の関係は良好であったと思われる。

 長禄三年(一四五九)越前国河口庄兵庫郷で国人堀江氏は豊原寺を攻めるために土一揆を蜂起させている(『経覚私要鈔』興福寺大乗院門跡 経覚の日記)。土一揆には門徒も含まれていたであろう。永禄十年(一五六七)三月、堀江中務丞景忠・左衛門三郎利茂父子が、加賀の一揆と結んで謀反を起こしたとの噂が朝倉義景の耳に入り、義景の命を受けた山崎吉家・魚住景固の両将は二千余旗を率い金津の溝江河内入道の館を本陣として、堀江館との間の上番一帯で、両軍は激しい合戦を展開した。両者ともに軍略をめぐらして勝敗の決着がつかなかったが、堀江父子を能登に亡命させて堀江の乱を終息させた。これらの争乱が堀江兵部らを武蔵に移住させた要因の一つになっていると思われる。


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