おおい 夏蔦くん
きみは元気だねぇ~
家の土台を覆ってくれているんだね
毎年守ってくれているね
節電の夏が続くけど
きみのお陰で涼しくなってるよ
夏が終わってきみの葉が落ちると
コンクリートの土台が
剥き出しで味気ないね
こころも剥き出しで
凍える冬が来てしまうよ
いまもセミくんたちの声がきみの
葉の中に吸い込まれて行くね!
今日はミンミンゼミくんの初啼きだったね
ニイニイゼミくんの啼き声も
耳の中から頭に染み込むね
わたしはきみが芽吹くと嬉しくなるよ
若葉が春を告げてくれるからね
これからも毎年このコンクリートの
土台を覆ってね
わたしのこころも覆って禍から防いでね
孫に見せてきみの歴史を語るのさ
わたしがここに来たときは
きみも子どもだったとね
きみが絡みつく余地も
いっぱいあったねと
遠慮はいらないから
もっと絡んでいいんだよ
きみはこの家の守り人さ
「神さまが きみを這わしたんだね」