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Channel: たろうくん(清水太郎)のブログ
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昔書いていた詩(175) 「残土」 「夢(28)」

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   残土

 
 団地前の窪地に
 工事現場から
 残土が運ばれて
 1988年1月の太陽に
 照らされて
 黒く横たわっている
 地中に眠っていた彼らに
 過去も記憶もない唯
 眠っていたそれだけ
 今は地表に積まれ
 晒され乾いて風化する
 土の中の虫たちは蠢いている
 初春が近づいているから
 ダンプの運転手は
 自分の経歴を語らない
 黙って降している
 僕だけが遠くから
 それを眺めている
 
 
    夢(28)
 
 僕の乗ったバスが
 河に落ちた
 多くの死人が出て
 棺桶から足が出ている
 バスは何処かに帰る
 途中で行く先を間違えて
 河を渡ろうとしたのだ
 それは電車の鉄橋の上で
 「危ない」と言って僕は
 慌てて飛び降り助かった
 そこで夢は終わり
 夢を引きずる臆病な
 僕が今日も目覚める

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